【基礎から解説】電気・給排水・空調…工場設備設計の基本とは?

初めての工場づくりで押さえるべきインフラ設計の要点

「建物はできたけど、機械が動かない!?」
そんな事態を防ぐために重要なのが、「工場の設備設計」です。
電気・給排水・空調といった“見えない部分”こそが、工場の生産性と安全性を支える基盤です。

この記事では、初めて工場建設や改修を行う法人担当者に向けて、設備設計の基本ポイントをわかりやすく解説します。

✅ 工場設備設計とは?

工場設備設計とは、生産活動に必要なインフラ(電気・水・空調・ガス・通信など)を、効率的かつ安全に整備するための設計行為です。
建築設計とは別に、専門の電気設備設計士・機械設備設計士が関わるケースも多く、建物の性能だけでなく、運用効率・保守性・将来拡張性まで影響します。

⚡ 1. 電気設備設計の基本

▷ 生産設備の電力容量を把握する
  • 機械設備の定格出力・起動電力・同時稼働率から必要容量を計算

  • 受変電設備(キュービクル)が必要な場合、高圧受電(50kVA超)か低圧かの判断も重要

電気容量の目安対象施設例
30〜50kVA小規模加工工場、軽作業中心
100kVA超溶接機・CNC・空調等の同時使用
▷ 分電盤の配置とコンセント設計
  • 作業ゾーンに応じた盤の分散配置が理想

  • 床下配線/ダクトレール/露出コンセントなど、作業効率と安全性を両立

▷ 照明計画と省エネ対策
  • LED照明+人感センサー、昼白色/電球色のゾーン分け

  • 屋根明かり(トップライト)で自然採光を活かす設計も人気

💧 2. 給排水設備設計の基本

▷ 工場の「水の流れ」を明確にする
  • 使用する水:洗浄、冷却、飲料、加湿など

  • 排水される水:雑排水、汚水、薬液、油混入水など

👉 製造内容によっては中和槽・油水分離槽・排水処理設備が必要となるケースも

▷ 排水ルートと勾配設計
  • 床に排水ピット・U字溝・グレーチングなどを設ける

  • 水が溜まらないよう1/100〜1/200の床勾配を確保

  • 床仕上げ材は防滑・耐薬品性のある樹脂モルタルや塗装コンクリートが主流

▷ 水圧と配管径の調整
  • 多数の蛇口・ノズル使用時は水圧低下を防ぐための太径配管とポンプ設計が重要

🌬 3. 空調・換気設備設計の基本

▷ 温度・湿度の基準は業種で異なる
業種温湿度要件例
食品工場18〜22℃・湿度60%以下(清潔区域)
精密電子工場22〜24℃・湿度40〜60%
一般作業場冬18℃・夏28℃を目安に設定可

👉 作業者の健康と製品品質の両方を考慮して設計

▷ 換気方式:全体換気と局所排気の使い分け
  • 全体換気:自然換気 or ダクトファン(CO₂・熱気・湿気排出)

  • 局所排気:有機溶剤・粉塵・臭気を出す作業場ではフード+排気ファンが必須

👉 換気量の目安は「必要換気回数(回/h)」「CO₂濃度」「発熱量」などから算出

▷ エネルギー消費と省エネ対策
  • 高効率空調機(GHP/EHP)+インバータ制御

  • 夏は断熱パネル/換気扇連動シャッター/遮熱塗装などでエネルギーロスを削減

✅ 設備設計で見落としがちな3つのポイント

  1. 保守・点検スペースの確保  → 配管や機器の周囲に600mm以上の点検余地を確保するのが理想

  2. 将来の拡張を見越した電源・配管計画  → 予備配線やバルブ付き給水分岐を計画しておくと工事費用を抑えられる

  3. 消防法・労働安全法との整合  → 有機溶剤使用・高温設備・局所排気などは消防設備や防爆仕様の確認が必要

工場設備設計は“建物の裏側”こそが生産性を左右する

電気・給排水・空調などの工場設備は、表には見えにくいですが、
「稼働率・安全性・品質管理・コスト効率」すべてに直結する超重要要素です。

  • ✅ 建築設計と設備設計は並行して検討するのがベスト

  • ✅ 設備業者・建築士・現場担当者の三位一体の協議体制が成功のカギ

  • ✅ 「今」と「将来」両方の視点から計画を立てることが重要

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