建設前に知っておきたい“長く使える建物”のつくり方
建物を建てる際、「建設費」は強く意識されがちですが、実際に**運用が始まってから長期にわたり発生する“メンテナンスコスト”**こそ、企業にとって大きな負担となる要素です。
特に工場や倉庫のように、日々稼働し続ける建物では、設計段階から“維持管理のしやすさ”を意識することが、将来的なコスト最適化につながります。
この記事では、メンテナンスコストを抑えるために設計段階でできる工夫や選定のポイントを、建設マネジメント（CM）の視点で解説します。
✅ メンテナンスコストとは？
メンテナンスコストとは、建物を維持・管理・補修していく上で継続的に発生する費用の総称です。
代表的な項目には次のようなものがあります：
空調・給排水・電気設備の定期点検や交換
外壁・屋根の再塗装や補修
防水工事・床補修
設備機器や配線の更新
清掃・清掃設備の維持
建物検査（年次・中間検査など）
📌 建設費よりも20〜30年単位の“ライフサイクルコスト”で見ることが重要です。
✅ メンテナンスコストを左右する3つの設計要素
1. 外装材・屋根材の選定
安価な仕上げ材を選ぶと、早期の再塗装・腐食・漏水リスクが高まる
耐候性・防錆性の高い金属板（ガルバリウム鋼板など）やフッ素樹脂塗装の採用がおすすめ
屋根は断熱性能＋防水性能＋歩行メンテナンスのしやすさも重視
👉 初期費用と長期維持費のバランスをCMが提案できると◎
2. 設備機器の集中配置とメンテナンス動線
空調・給排水・電気盤などの機器をバラバラに配置すると点検コストが増大
機械室・電気室をまとめて設け、点検動線や作業スペースを確保
また、点検口・配管ルート・バルブの位置なども明示しておくことで、日常点検や交換作業がスムーズになります。
📌 CM方式では、設備設計時に維持管理担当者の声をヒアリングしながら配置計画を進めることが可能です。
3. 床仕上げ・排水勾配の工夫
倉庫や工場の床は、重機走行や水・油の使用頻度に応じた耐久性設計が必要
硬質塩ビタイル・エポキシ樹脂などの選定
排水性を確保する勾配や、床の目地位置・ドレインの配置が重要
📌 「滑りにくさ・耐摩耗性・清掃性」の3点を重視すると、清掃や衛生管理コストも抑えられます。
✅ その他の設計上の工夫ポイント
| 項目 | 工夫内容 |
|---|---|
| 外壁の色 | 汚れが目立たないグレー系・模様入り塗装を採用 |
| 窓・開口部 | 高所窓はメンテナンス不要なFIX窓＋Low-Eガラスを使用 |
| 天井裏の配線 | ダクト・配管の更新がしやすいようにレイアウトを整理 |
| 換気・排気 | フィルターやモーターの交換スペース・アクセス確保 |
| 防虫・防鼠設計 | 自動シャッター・密閉性・樹脂部材の選定 |
✅ CM（コンストラクションマネジメント）会社の役割
設計段階からCMが関与することで、「施工性・初期コスト」だけでなく、「維持管理性・長期コスト」も加味した設計支援が可能になります。
| CMの具体的な関与内容 |
|---|
| 設備機器のライフサイクルを含む設計レビュー |
| 施設管理部門とのヒアリングによる実用的配置提案 |
| 外装材・床材のサンプル比較とコスト評価 |
| メンテナンス契約やアフターサービスの整理 |
📌 経験豊富なCMが入ることで、設計者や施工会社では見落としがちな“使った後の現実”を踏まえた設計調整が行えます。
“安く建てる”ではなく“賢く使い続ける”建物づくりを
| 設計での工夫 | 将来的な効果 |
|---|---|
| 材料選定の工夫 | 塗替え頻度の削減、腐食リスク低下 |
| 設備配置の整理 | 点検・更新コストの低減、作業効率UP |
| 清掃性・耐久性の確保 | 維持管理にかかる人件費・時間の削減 |
HiLantでは、建設費だけでなく、維持管理まで見据えた“ライフサイクルコスト最適化”を重視したCMサービスを提供しています。
「将来の運用も見越した施設設計をしたい」「使いやすく、壊れにくい建物にしたい」といったご相談は、こちらからお気軽にどうぞ
