
工場や倉庫の建設では、「いかにコストを抑えながら品質を確保するか」が大きな課題です。
そのための手法として注目されているのが「VE(Value Engineering)」ですが、
「設計VE」と「施工VE」の違いを正しく理解していないと、思わぬコストアップにつながることもあります。
本記事では、建設計画を検討中の企業様に向けて、
**VEの効果を最大化できる“タイミング”と“実践方法”**をわかりやすく解説します。
■ VE(Value Engineering)とは?
VEとは、「必要な機能や品質を保ちながら、コストを最適化するための手法」です。
単なる“コスト削減”ではなく、建物の価値を損なわずに無駄を省くことを目的としています。
たとえば、材料や仕様を見直すことで、同等以上の性能を保ちながらコストを下げることが可能です。
■ 設計VE:設計段階での「攻めのコスト削減」
設計VEは、設計段階(基本設計〜実施設計)で行うVE活動です。
この段階では、建物の構造・設備・仕様といった要素がまだ決まっていないため、
最も大きなコスト削減効果を得ることができます。
▪️ 設計VEの代表的な取り組み例
構造スパンの見直しによる鉄骨量の削減
断熱性能を維持しつつ、仕上げ材の代替案を検討
空調や照明のゾーニングを最適化して運用コストを低減
設計VEを早期に行うことで、品質を落とさずに予算内での建設を実現できます。
このタイミングを逃すと、後から変更する際に再設計や手戻りが発生し、
かえってコストアップになるケースも少なくありません。
■ 施工VE:現場段階での「現実的な最終調整」
一方の施工VEは、工事が始まった後に行うコスト調整です。
設計VEに比べると変更できる範囲は限られますが、
現場の状況や資材の調達方法を工夫することで無駄を省くことができます。
▪️ 施工VEの具体例
施工方法の見直し(プレキャスト化・仮設簡略化)
資材の現地調達やまとめ発注によるコストダウン
工程の最適化による人件費の削減
現場担当者や施工会社の提案によって、最終的なコストを微調整する段階といえます。
■ 設計VEと施工VEの違いを整理
| 比較項目 | 設計VE | 施工VE |
|---|---|---|
| 実施時期 | 設計段階(基本設計〜実施設計) | 工事段階(着工後) |
| コスト削減効果 | 大きい | 限定的 |
| 自由度 | 高い(設計変更可能) | 低い(仕様確定後) |
| 主な目的 | 初期コストの抑制 | 実行段階での最終調整 |
どちらも大切ですが、大きなコスト差が出るのは設計段階です。
つまり、「VEをいつ行うか」がコスト削減の鍵になります。
■ コスト削減を成功させる3つのポイント
1️⃣ 早い段階でVEを実施する
→ 設計が固まる前の段階でVE検討を始めると、最も効果的。
2️⃣ 関係者間で情報を共有する
→ 設計・設備・施工すべての担当が同じ方向を向くことで、無駄を防止。
3️⃣ コストと品質のバランスを明確にする
→ 安さだけでなく、メンテナンス性やランニングコストも含めて総合判断。
VEのタイミングが「コストを決める」
VEは建設コストを抑えるための強力な手法ですが、
実施のタイミングを誤ると、むしろコストが増えるリスクもあります。
特に設計段階でのVEは、長期的な運用コストにも影響する重要な工程です。
もし現在、
「設計見積が予算を超えている」
「どの段階でVEを入れるべきか迷っている」
と感じている企業様は、早めの専門家相談がおすすめです。
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