中小工場では「人が中心の作業」が多いため、
小さなヒヤリハットが重大事故につながるリスクが大企業以上に高くなります。
しかし、現場では
人手不足
古い設備・建屋のまま稼働
安全ルールの属人化
などの理由で、安全対策が十分に行われていないケースも少なくありません。
本記事では、中小工場で特に見落とされがちな
労働安全対策の基本5項目を、建築・設備設計の専門家視点で分かりやすく解説します。
新設工場だけでなく、既存工場の改善にも役立つ内容です。

1. 動線の交差と視界不良 ― フォークリフト事故を防ぐレイアウト設計
中小工場で最も多い事故が、フォークリフトと作業者の接触。
原因の多くは 動線の交差・死角 にあります。
【改善ポイント】
人と車両の動線を完全に分離(ライン・カラーマーキング)
交差点にミラー・センサー・警告灯を設置
壁・ラックで死角をつくらないレイアウト
高速シャッターで出入口の視認性を改善
特にレイアウト変更なしで改善できる床マーキングは、
工場安全対策の中で最も費用対効果が高い施策のひとつです。
2. 換気不足による熱中症・有害ガス ― 空調・局所換気の最適化
中小工場は大型空調の導入が遅れがちで、
「夏は40℃近くになる」「油煙や粉塵で空気が悪い」
という状況も少なくありません。
【改善ポイント】
高温ラインは局所排気(スポットエアー、フード)を設置
屋根断熱+遮熱塗装で温度上昇を抑制
冬の密閉環境ではCO₂濃度を計測し換気量を確保
粉塵工場では集塵機+HEPAフィルター併用で飛散防止
熱中症や有機溶剤の曝露を防ぐには、建築+設備の一体設計が欠かせません。
3. 老朽化した床・段差による転倒事故 ― 安全床材とバリアフリー化
実は、中小工場で最も多い怪我は「転倒・つまずき」。
特に古い工場では、
コンクリート剥離
床の油汚れ
段差
などがそのまま放置されていることがあります。
【改善ポイント】
防滑エポキシ床材・耐油塗床の採用
排水溝周りの段差解消
リフトや台車の動きを考慮して床レベルを調整
通路幅を確保し、作業者の最短動線を確保
“見た目がきれい”ではなく、
安全に歩けることを重視した床設計がポイントです。
4. 非常時に機能しない避難動線 ― 消防・防災計画の見直し
「避難経路に資材が置かれている」
「非常口の先が行き止まり」
などは中小工場で頻繁に発生する問題です。
【改善ポイント】
避難経路を塞がない配置計画
非常灯の点検とLED化
火気使用エリアごとの防火区画
自動火災報知設備の作動範囲を確認
危険物倉庫は消防法規の区分を遵守
特に増改築を繰り返した工場は
避難ルートが不整合になっているケースが多いため要注意です。
5. 機械設備まわりの“余白不足” ― 点検・メンテできない配置の危険性
中小工場では、限られたスペースに設備を詰め込みすぎる傾向があります。
しかし、
点検スペースがない=故障時に作業者が危険な動作をしやすい
というリスクにつながります。
【改善ポイント】
メンテスペース(600〜1,000mm)を必ず確保
高さのある設備は倒れ止め・アンカー固定
機械周りに非常停止(E-STOP)を設置
自動化ラインは柵・ライトカーテンで作業者を保護
特にロボット導入ラインでは、
「ロボット可動域の可視化(イエローゾーン)」が必須項目です。
“危険をつくらない工場”は設計から始まる
中小工場の安全対策は、単に注意喚起や教育だけでは不十分です。
建築・レイアウト・設備の段階から安全を組み込む=安全設計 が不可欠です。
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